
「バジルー?・・・あれ、どこ行ったのかな」
お盆に乗せたコップと麦茶を落とさないように気をつけながらバジルを探していると、少し先の廊下の方から私を呼ぶ声が聞こえたような気がして、声のする方に歩いていく。
と、縁側に座って庭を眺めているバジルがいた。
バジルは歩いてくる私に微笑みながら「手伝いますか?」と言うので、「このくらい大丈夫だよ」と返して、先にお盆を置いてバジルの隣に腰をおろした。
庭先に咲く月下美人や、風鈴の涼しげな音が何とも風流で心安らぐ。
バジルといるこの時間だけは、戦いなど忘れてゆっくりできる。私の、大好きな時間。
コップに注いだ麦茶をちびちびと飲みつつ、バジルを盗み見る。バジルはただじっと庭先を見つめている。(・・・やっぱり格好いいなあ。綺麗な顔)
「どうかしましたか、殿。拙者の顔に何かついてますか?」
「(ぎゃ!気付かれてた!)や、何もついてないよ!ごめん!ぼーっと、してた、の」
バジルの顔を凝視してて目が合っちゃうとか、私どんだけ!恥ずかしさのあまり、顔を勢いよく反らして足元に視線をやる。暑いのはきっと、日差しのせいだけじゃなくて。
一人でわたわたしていると、「そういえば殿、怪我は大事ないですか?」とバジルが覗き込んできた。
ああ、この間の傷のことか。(それにしても、か、顔が近いです・・・)
「大丈夫!心配ないよ。それに、そんなに深い傷でもなかったしね」
「・・・・・・。拙者の未熟さで殿の柔肌に傷を負わせてしまい、誠に申し訳ない!」
「ちがっ、バジルのせいじゃない!あれはバジルを護る為に私がやったことだもん、名誉の負傷だよ。それに、バジルが謝るようなことじゃない。お願いだから、顔をあげて」
「しかしっ・・・!」
「お願い。私は全く、気にしてないよ」
あの時は、無我夢中で自分でもよく分かってなかった。けど、ただバジルを護らなきゃって思った。だから、バジルは悪くはないんだ。勝手に飛び出していった私の責任。
数秒間、お互い顔を見つめたままだったけど、バジルが先に渋々だけれど折れてくれた。
「ですが、次は拙者が殿をお護りします!もう二度と殿の柔肌に傷はつけさせはしません!」
「(だから柔肌って!)・・・ありがとうバジル。でも、お館様や十代目を優先してね」
その言葉に、バジルは驚いたような顔をして俯いてしまった。・・・・・・あれ、私なにか気に触るようなことを言ってしまったのだろうか?
どうしよう!と焦っていたら、バジルが突然顔を上げたのでビックリしてコップを倒しそうになった。バジルは、にっこりと私の好きな優しい笑みで、
「お館様や十代目のことは勿論、拙者もボンゴレファミリーも命に代えてでも護りぬいてみせます。ですが、殿のことは拙者個人が絶対に、護ってみせます」
私の手にぎゅっとバジルの大きな手が重なる。顔も身体の距離も、いつもより断然に近くて、顔から火が出そうなぐらいに恥ずかしい。
「どうして、いつも・・・平気で恥ずかしいこと言えるの。心臓、もたないよ。そ、それに」
「それに、なんですか?」
「期待・・・しちゃうじゃない」
俯いていた顔を持ち上げられて、影がかかったと思ったら次には唇に何か当たる。
何があったか脳が理解した頃には、バジルが次の言葉を紡いでいた。「期待して、いいですよ」その言葉すら、理解するには時間がかかった。嬉しくて涙が出そうだ。
涙声になりながらも、嬉しいと返事を返すと、バジルは笑って僕もですと答えた。
「・・・、愛してる」
そうしてまた、お互いの距離が縮まって、それは先程よりも長く。影が交わった。
ひとときばかりは連理の枝で
≫『家庭教師ヒットマンREBORN』バジルで、ほのぼの甘。椎名 四葉様、如何でしたでしょうか?
本当に遅れて申し訳ありません!本当にすみません・・・。気に入っていただけるとよいのですが。
と、いいますか、バジル君とか始めてのことばかりで、口調とかキャラが捉えきれてな(殴)
本当に遅れてしまって申し訳ありませんでした!!!(土下座100回)
ご応募してくださりまして、本当にありがとうございました!(20070716)
配布は終了いたしました。
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極悪ダミー。 item by
RainDrop