かみさま これが運命ならば
泣きじゃくる彼女をもうこの身体で抱きしめられない
あの長い、長い戦いが終わってしばらく経った。忘れていた記憶も、春の雪解けのようにすべてを思い出した。
すべてが終わったように見えて、それでも終わりは続いていた。
世界は色を失って、無色の世界が眼界に広がる。喪失感という喪失感という喪失感が全身を思考をも支配して、私は私ではない、
そんな気分になって。(もう、どうでもいいよ、こんな世界)また滅びでもなんでもくればいい。そうすれば、また、
「・・・・・・。いい加減なにか食べないとあんた、病気になっちゃうよ?」
ノック音。扉越しに聞こえてきた声。ああ、ゆかりか、とぼんやりと思った。(私が逢いたいのは、あんたなんかじゃない)
「・・・・・・・・・。ココに置いてくから、ちゃんと食べなさいよ」
・・・大きなお世話だ。あの人はもう食べる事が出来ないのに。あの人はもう食べる事が出来ないのに、どうして私が食べれる?
どうして普通に生活できると言うのだ。あの人は笑う事も出来ないのに。あの人は、泣く事すら出来ないのに。私が許される筈ない。
「ねえ、。・・・・・・あたしの声、聞こえてる?」
彼の簡素な部屋が大好きだった。最初は何も無さすぎだろうとも思ったけど、どんどんそれが逆に彼らしくて好きになった。
口数は少なすぎて無口。だけど、そんな彼の言葉は私に安らぎを苦しさを愛おしさをくれる。私を見る瞳が。唇が。顔が。手が。足が。
なのに、どうしてカレじゃなきゃいけなかったの?
お別れなんて、いいたくないよ。だってまだ、ずっといっしょにいたかった。まだまだ行きたいとこだって、やりたい事だって
いっぱい、いっぱいあったのに。どうして、どうしてなの。どうして!!!
あなたのいないこの世界なんて、あってもなくても同じ。こんな世界なんてイラナイ。がいる世界が、私の生きる世界。
だったら、
「大丈夫。安心して。を独りになんてしないよ」
「――――― え、・・・?」
「・・・。いま、いくから待ってて。うん。私も愛してるよ、」
「!!!? っ!!!!!??」
こんどはずっといっしょにいられるね
かみさま あなたをうらみます
(20070810)title by アルニカ