どうしてこの学校はこんな山の上にあるのだろうか。

こんな所に学校を建設しようとしたヤツの思考が分からない。まあ、分かりたくもないけど。

などと脳内で建設者と設計者を罵倒している内に、これから私が通うことになる県立北高等学校の門が見えてきた。

桜の花びらがひらり、ひらりと舞う。

門の付近で保護者との別れを告げて校舎へと向かう新入生の波に混ざって、自分も割り振られた教室へと足を運ぶ。


―――――― とうとうこの日がやって来た。


不安げな顔をした新入生たちが次々と校舎の中へ消えていき、遠くで先生だと思われる男が早く校舎に入るよう呼びかけている。

はっとして周りを見渡すと、何時の間にか人はまばらになっていた。

止まっていた足を動かして教室まで早足でその場をあとにする。

ひらり、桜が舞った。

























4月はあっと言う間に過ぎ去った。

それはもう光のごとくと言ったら流石に大袈裟だけど、そのぐらい早く過ぎてしまった。

諸事情により、通常より多く経験することになってしまった入学式も無事に終わり
(何回やっても慣れないものだと痛感した)

クラスでの自己紹介もクラスメイトと似たようなことを言って、数人の友達も出来て今はそれなりに普通の学校生活を送っている。


ただ1つ驚いたことが、私が1年間過ごすことになったクラスは、長門有希と同じクラスだった。

そう言われてみると、彼女は1年6組だったように思う。

長門さんはやっぱり教室でも黙々と読書をしていて、数回話しかけたことはあるけど、

未だに返事は単語で返ってくる
(初めて話しかけた時はきょとん、とした顔をしていたっけ)(すごく可愛かったけどね!)

ただ、私は同じクラスなのに隣のクラスの彼の方が先に長門さんと仲良くなるのは
(すごく自分勝手だけど)ちょっと悔しいので、

彼よりも先に名前で呼び合えるぐらいの仲になろうと日々努力中。

なのだけど、新学期ミラクルとか言うやつで、全体的にバタバタしてて大した交流も深められずに今月が終わってしまった。

…むぅ、悔しい。





そして5月が始まり大型連休のゴールデンウィークは、忙しくてなかなか遊べてなかったハルヒと3日間ほど遊び倒した。

ハルヒとゆっくり過ごすのは入学してからはほとんどなくて、

久々にハルヒの愚痴を聞いたり
(全然面白いヤツはいないだの、活動も多いだけで面白くなかった、など)

お互いのクラスの話をしたりと新鮮な時間だった。

連休ということもあって、これまた久し振りにハルヒ宅に招かれて食べた夕食は美味しかったし、

何より大勢で食べるご飯が温かかった。

…またハルヒのやつ、胸がでっかくなっててジェラシーでした
(「は変わんないのね」………大きなお世話だ!)





ゴールデンウィーク明けの授業はかったるかったけど、LHRの時間に席替えがあった。

運悪く、窓際から2列目の1番前の席という最悪の分類に入るポジションを引いて落胆しながらも机を移動させていると、

窓際の1番前の席
(ようするに私の左隣)には長門さんが座っていた。

なんとなく間違いかとも思ったので 「長門さん、そこの席?」 と訊くと 「そう」 、と短い答えが返ってきた。

長門さんの隣!と嬉しくなって
(だってずっと前から長門さんと仲良くなりたかったし、それにちっこくて可愛いんだもの!)





「次の席替えまでよろしくね、長門さん!」

「……よろしく」





ちょっと驚いたように見える顔萌え!と抱きつきそうになる自分を必死に抑えて、椅子に腰を下ろした。

1番前の席でも、隣に長門さんがいるなら全然オッケー!むしろ長門さんが隣ならどこの席だっていいわよ
(これじゃ危ない人だ)

眼鏡越しに見える瞳はまっすぐに黒板を見ていて、微動だにしない。


―――――― 対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェイス。


よく覚えてたな、と内心関心しつつ私も黒板を見る。どうやら残りの時間は自習らしい、クラスメイトはそれぞれ話し出した。

隣を見ると、長門さんは机から本を取り出してすでに読み始めていた。

こうして見ると、やっぱり長門さんだなぁ。





「ねえ、長門さん」

「・・・なに」

「・・・・・・長門さんは、私が何者なのか知っていると思うんだけど」

「・・・・・・・・・」

「そういうの抜きでもさ、これからよろしくね」





たっぷり10秒ほど経ってから、長門さんはこくり、と僅かながら首を縦に動かした。

実際頷いてくれるとは思ってなくて、それがすごく嬉しくて、溢れ出しそうになる感情を抑えて、

私は長門さんに小さくお礼を言って笑った。

少しずつでもいいから今よりもっと仲良くなれるといい。
――― だって独りは寂しいから。その寂しさを、私も長門さんも知っている。

だから仲良くなりたいって私は思ってる。彼女の負担、ストレスにならない程度に、だけど。





「あ、そうだ」





そう言う私を長門さんはじっと見つめてくるので
(その表情もやっぱり可愛い)

「長門さんのこと有希って呼んでいい?」 と訊くと、数秒経ってから小さく 「いい」 と言ってくれた
(や っ た ぜ !)

だから調子に乗って 「私のこともでいいよ」 と言うと 「…・・・…わかった」 と答えてくれました!

本当に可愛い!もう抱きつきたくて仕方ないんですが!
(だからこれじゃただの変態じゃん)

名前で呼び合えるのが嬉しくて、有希有希名前を連呼してたら少し困ったように 「…」 と呼んでくれてすっごい可愛かった!

今日は 『有希との名前呼び記念日』 にしよう。

帰ったら速攻、カレンダーに書かなきゃ!
(あれ、変態決定ですか?)

私と有希のやりとりを見ていたクラスメイトが 「長門がと喋ってる」 と話していたのを聞いたのはその日の帰りだった。
















(
20071021
あれ、また勢いに身を任せてこんなもの始めちゃいましたよ。その内身を滅ぼしますね!(自覚あり)
すみません趣味に走りすぎました。長門さんとイチャイチャさせ過ぎましたでも悔いはありません!長門さん大好き!
原作沿いなので完結目標でいくのなら、まだまだ掛かりそうですが、古泉と結ばれるぐらいまでは頑張りたいと思いますので、
この連載をお読みになって下さるお方は、末永いご愛読の方をよろしくお願いします。挫けず頑張る(スローガン)。