どうしてこんなに驚いているのか分からない。

どうして私はこんなにも驚き、動揺しているのだろう。自分のことなのに、訳が分からない。

そんな私を尻目にハルヒは話を再開した。





「話が途切れちゃったわね。・・・で、そこでぼーっとしてるのが団員その4。

 ちなみにあなたは5番目。みんっな、仲良くやりましょう!」





ハルヒが話し始めたことで、私に集まっていたみんなの視線が外れたのは救いだった。

今はもうさっきの動揺はない。

あれは何だったのだろうと疑問に思ったけれど、気のせいだと自分に言い聞かせてパイプイスに座りなおした。

視線を感じて隣を見るとキョンくんが心配そうな顔で私を見ていた。

「大丈夫か?」なんて訊くキョンくん。

まさかそんな事を訊かれるとは思ってなくてちょっとだけ驚いたけど、大丈夫と笑みを返してハルヒに視線を戻す。





「入るのは別にいいんですが、何をするクラブなんですか?」





古泉くんは笑みを絶やさずにハルヒに問う。

するとハルヒは待ってましたと言わんばかりに、古泉くんとは違った笑みを浮かべて声高らかに宣言した。





「教えるわ。SOS団の活動内容、それは、宇宙人や未来人や超能力者を探し出して一緒に遊ぶことよ!」





全世界が停止したかと思われた。



というのは嘘で、私は単に「とうとう宣言しちゃったかー。あっははー」と思っただけだった。

隣に座っているキョンくんも、私と同じようなことを思っているのだろう。

その証拠にフリーズしている訳でもなく、きょろきょろと周りの反応をうかがっている。

ただ、私とキョンくん以外の3人は硬化していた。

その中でも特に、有希の驚いた顔は貴重なので目に焼き付けておくことにする
(古泉くんのも焼き付けておこーっと)

しばらくして、硬化していた古泉くんは我に返ったようで「はあ、なるほど」と呟いて、

みくる先輩と有希を交互に眺めたあとに、私をじっと見つめて
(なんだか気恥ずかしいので私は目を逸らした)うなずいた。





「さすがは涼宮さんですね。いいでしょう。入ります。今後とも、どうぞよろしく」





どうやらこのメンバーでは、古泉くんが1番適応力がありそうだった。

んー、でもやっぱりキョンくんの方が適応力はありそうかな?じゃなきゃ今頃、精神崩壊してるもんね。

などと失礼なことを思っていると、こつんと頭を小突かれた。

む!こんなことをするようなヤツは私の身近には1人しかいない!





「さっきから何をぼーっとしてるんだよ、お前は。古泉がお呼びだぞ」





案の定、やっぱりキョンくんだった。

キョンくんは少し呆れたような何ともいえない顔をして私を見ている。その横には微笑み佇む古泉くんが。

相変わらず古泉くんはにこにこと笑っていた
(疲れないのかな?)





「先程は大丈夫でしたか?」

「あ、はい!・・・その、さっきはいきなり黙りこくってしまって、ごめんなさい」

「いえ、気にしていませんよ。

 体調が悪くなったのかと心配していましたが、どうやらそうではなかったようなので安心しました」





意外なことにも、古泉くんにも心配をかけていたらしい。

そりゃあ、自分の顔を凝視されたら誰だって「こいつ頭大丈夫か?」って思うよね・・・!

でもこんな変であろう私に声をかけてくれた古泉君は、優しい人だ。

苦笑する古泉くんに罪悪感が募り、私はまたごめんなさいと力いっぱい謝った。





「そう何度も謝らないで下さい」

「でも・・・!」

「それより、名前を教えていただけますか?自己紹介、まだでしたよね」

「へ?」





このタイミングで名前を訊かれるとは思ってなくて、私はアホ丸出しできょとん、と古泉くんを見るだけだった。

古泉くんはそんな私に再度、「さっきは途中でしたからね」とにっこりと微笑んだ
(笑顔が眩しいです)

はっと我に返り、





です。これからよろしくお願いします!」





とイスから立ち上がり自己紹介をした。





「もう何回も僕の名前は聞いていると思いますが、改めて。

 古泉一樹です。分からないことばかりでご迷惑をかけることがあると思いますが、何卒よろしくお願いします」





丁寧な自己紹介をして、古泉くんはまたにっこりと微笑んだ。

男の人に
(しかもこんな美男子に)微笑まれたことなんて、生まれてこのかた初めての経験なので、

正直な話どう反応していいのか分からない・・・。

多分、少しだけ赤くなってしまっただろう頬を隠して、笑いかえしておいた。

それにしても
(古泉くんを再度見る)こんなにカッコイイなんて反則だと思う。

キョンくんが羨むのも、女子の黄色い声援が飛び交うのも納得できるというものである。これぞ、文句なしの美男子。

同じ部活(?)に入っている私を目の敵にする女子生徒が現れたりして。・・・・・・・・・笑えない話だ。

これはすでにファンクラブは結成されているだろうね。





「そういうわけで6人揃ったことだし、これで学校としても文句はないわよねぇ」





ハルヒがとびっきりの笑顔で全員を見渡す。




「いえー、SOS団、いよいよベールを脱ぐ時が来たわよ。

 みんな、一丸となってがんばっていきまっしょー!」





とりあえず、おー!と返しておいた。あれ、みんな少しはノってきてよ・・・
(1人だけとか悲しいじゃない)

この後ハルヒは、転校して来たばかりで何も分からないだろうからと古泉くんを連れて、

そして私も「も来なさい!」との団長命令で連行された。

・・・そんな哀れんだ目で見ないでよ、キョンくん。














(
20080218 )
古泉が出ましたね、やっとですよね。おっし、これから頑張るぞー。更新速度低下してるけど(オイ)