休日の過ごし方について
「ちゃんと遊ぶのはあたしなんだねっ!」
「と遊ぶのは僕だ!」
「ええーっとぉ・・・・・・・理澄、出夢?」
「「(ちゃん)!!!!!」」
「は、はいイィィイイ!!!!??(殺気がっ)」
「「(俺)(あたし)のどっちが好き?!!!!!」」
「え、えええええ?!!!!」
澄百合学園のリビングとして使われている一室。
たまたま暇を持て余していた私は、お茶でも飲もうかとリビングに行った。
中にいた人は理澄と出夢だった。見るからに2人は暇そうに床に寝転がって何かしていた。
それを横目に見てお茶を淹れようとキッチンに向かうと後ろからの衝撃。
いきなりの不意打ちだったために、バランスを崩して前のめりに突っ込む。床とご対面だ。
「へぶっっっ」と女らしくない無様な声を上げた私を尻目に、始まったのがあの口論。
な、何なんだ一体・・・・!!!!
「ちょっと待って、きちんと説明して・・・・というかこの体勢キツい・・・」
「だから、僕の方が好きだよなあ?んなこたあ、訊かなくったってわかる」
「違うもん!アニキよりあたしの方が好きに決まってるんだねっ!!」
「我が妹でもそれは聞き捨てならねえな。は僕が好きなの、愛しちゃってるの」
「アニキも何言ってんだよ!ちゃんが好きで愛してるのはあたしだもんっ!」
「僕だ!」
「あたし!」
「だーもうっ、退きなさい!!!!!」
「「・・・・はい」」
好き、好きじゃない以前に私を殺す気かこの兄妹は!!!!!背骨が折れる5秒前だったぞ?!
人の背中に乗って暴れやがって・・・・・。背骨が折れたら一生私の世話させてやる!!(何か違くない?)
しかもさっきから一方的に人の気持ちを勝手に決めてるし。おい、私の意志はどうした。
退いてもらって身体をきちんと戻す。その場に座って出夢たちに向く。
「で、君たちは一体何をしたいのかな?医療費問題まで発展する所だったよ」
「(医療費問題?)いや、僕たち暇だったんだよな、これが。んで、何すっかなーって話してたんだよ」
「(医療費問題?)うん。そしたらね、ちゃんが入ってきたから遊んでもらおうって思って、
どっちが先に遊ぶかって・・・・・」
「ぎゃははっ!で、が好きな方と遊ぼうぜーってことになったんでアレだ」
「そんな理由で人の背骨を折るな」
「そ、そんな理由だあ?、これは僕たちにとっては死活問題だぜ?」
「そんなんだねっ!匂宮兄妹にとっての最大の問題なんだよ」
何でそんなに大事になってるんだよ・・・。なんて口が裂けても言えません。
だって、目が本気だし。頼知がこの兄妹のお菓子勝手に食べた時以来の目の怖さかな。
あれは思い出したくもない。そのときの光景が鮮明に頭によみがえったので、心の中で頼知に合掌した。
あ、でもこの場合、標的にされてるの私じゃん。
上手く切り抜けないと私は明日の朝日を拝めない。
「えっとさ、うん、私はね、そんなの決められないよ。だって2人とも同じぐらい好きだし、
なんたって同じぐらい2人を愛しちゃってるからさ」
これは嘘じゃない。ちょっと言い方が軽いけど、それでも本心だ。
2人のどっちかなんて決められない。(決めたら朝日が・・・ていうのも少しはあるけど)
「ちえっ、にはやっぱ敵わねーな。それでこそ僕の惚れた女だぜ」
「ぶー、でもそれでこそちゃんなんだね」
2人とも、少し納得のいかない顔をしているけど何とか承諾してくれたみたいだった。
明日の朝日は拝めそうです。
「うん、だから2人とも私にお茶を「「でもそれとこれとは話は別だ(ぜ)(ね)!!」」
「へ・・・・・・?」
お茶を飲ませてください・・・と言おうとしたのに、な、、、何?
「今日はどっちがちゃんを独り占めにして遊ぶか、これをはっきりとしないといけないんだねっ!!」
「だから、2人で一緒に・・・・」
「ぎゃは!今日は独占日だからな!!」
「何だその変な日は。おいおい、勝手に決めちゃ著作権とかさ・・・」
「つーことでえー!!!」
「「どっち?!!!!」」
「人の話無視するな!!!!!・・・・ったく、私の命の寿命が・・・」
勝手に記念日とかつくっちゃいけないよ。よい子も悪い子もね。人を巻き込む日なんか尚更だよ!
何でこんなにこだわるんだ・・・・・?狐さん、変なこと吹き込みやがったか?
可愛い子達になに吹き込んでんだよ・・・。ちっ、次逢ったら速攻で拳を贈り物にしてくれる・・・。
※もう、狐さんが犯人だと確定している。
「それじゃあ、アニキ、ちゃんが抱きついて嫌がらない方が今日遊ぶってのはどうかなっ?」
「別にいいぜ我が妹!ぎゃは僕が勝つに決まってるけどなあ!!」
「だ か ら 勝手に話を進めるな!!て、うおっっ」
ルールを守れルールを。
理澄の豪快なタックルを胸にくらう。また女らしくない呻き声を上げてしまった。
むぎゅーっという効果音がつきそうな位にぎゅっと抱き締める理澄。少し痛い。
「ちゃんって抱き心地抜群だから気持ちいいんだねっ!」
「(仕様がない)うん?理澄もちっさくて抱き心地いいよ?可愛いなー、もうっ」
至福のとき。可愛いおなごは大好きだ。理澄は特に小さいから可愛いんだよねー。
「理澄!!いい加減離れろよ!!次は僕の番なんだからさあ」
「アニキこそこの光景を見てわかんないかな?ちゃんが好きなのはあたしだねっ!」
「出夢は男だからいいでしょ。私は異性を抱く趣味はありません」
「アニキ!今回はあたしがか「理澄ー!狐さんが呼んでるぞー!!!急いだほうがいいぞー」
遠くから頼知が理澄を呼んでいた。
あーあ。頼知、残念ながら朝日は拝めないな。また心の中で合掌した。アーメン。
「あの野郎、狐さんとの仕事が終ったら真っ先に葬ってやる・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
よし、理澄には絶対に逆らわないでおこう!
「り、理澄、今度遊んであげるよ」
「え、いいの?!!!」
ぱあああああっと周りに花が咲き乱れそうなぐらいの万遍の笑顔が眩しい。
や、嘘は吐いていないから罪悪感は・・・・・・ないけど。
「うん、いいよ。ほら、早くいかないと狐さんに怒られちゃうよ」
「約束だねっ!!んじゃ行ってくるね、ちゃん、アニキ!」
「いってらっしゃい。気をつけてね」
「狐さんにも気をつけろよ、理澄」
別れる際にぎゅっと力を入れて、行ってしまった。
理澄の後姿を少し眺めていたけど、部屋には必然的に出夢と2人きりになる。
よし、お茶を飲もう。
と、立とうとしたら今度は手首をつかまれて、バランスを崩す。
ああ、また床とご対面か?などと頭の片隅で考えながら次の衝撃に備えた。
けれどいつまで経っても痛くない。恐る恐る目を開けると、出夢がいた。
私は出夢の長い腕の中にいるのだと少し立ってから気づいた。
「さあて、理澄もいなくなったし、今回だけは木野の野郎に感謝してやらなくっちゃなあ?
今度会ったらラブコールでもしてやらないと。ぎゃはは!ま、助かったらの話だけどな!」
「い、出夢・・・・?」
「、暇で暇で可愛そうな僕ちゃんと遊んでくれるよなあ?」
「遊ぶって・・・・そんな年じゃないでしょうに」
「何して遊ぼうかな?僕の年でしか遊べない遊びぐらいあるって知ってるはずだろ?
そうだなー・・・で遊ぶかー」
「ちょっと出夢くん?誰が誰で遊ぶつもりかな?私はそんな危ない遊びをする趣味はないよ」
「僕がで遊ぶのさ。そうと決まれば僕の部屋にいこうぜ」
耳元で先程から言われていて、駄目だ、逆らえそうにない。
なんて、初めから出夢に逆らえるはずなんて、ないのだけれど。
「なあ、」
「うん?何?出夢」
「全人類が滅びちゃってもいいぐらいに、僕はを愛してるよ」
私を抱く腕の力が強まった気がした。
強まった、気がした。
抱き返したのは、肯定の証。
私が本当に心から愛しているのは。
言葉がなくても伝わる想いがあってもいいと思った。
言葉以上に伝える想いもあると思った。
「うん、私も愛してるよ」
≫27000打ありがとうございました!そして花音さんに上納いたします!!!
リクは「理澄 vs 出夢。出夢オチ」でしたので、こんなものになってしまいました。
何だコレは・・・。甘なのかギャグなのか。楼楔の書くvsは口論が多いようです・・・。
出夢くんの口調が掴みきれてないのがよくわかります。痛い!石は投げないで!せめて豆腐に!
花音さんだけお持ち帰りOKです。こんなものですが、持っていってくださると嬉しいです。
遅くなってしまって申し訳御座いませんでした。
私からのささやかなお年玉とでもいいますか、贈り物です。あけおめ!!(20060101)