「うぎゃー、さいあく!」


どうやら平仮名になるほどに最悪らしい。





「どうした」


草木や自然が綺麗に色づいてきて肌寒くなってきた中、付き合い始めてから変わることのないこの習慣。
二人並んで私の家まで帰宅中。
なのだけれど、


「せ、制服が煙草臭いんですけどなんで?!!!」


そんな感じだった。
最悪だ。・・・・・・・・最悪だ。今日はこの二文字しか言えない気がする。いや、既に気ではない。
現時点で、私の中の流行語大賞受賞ものだ。
煙草臭いとか・・・本当、最悪。私・・・・・・、煙草嫌いなのに。嫌いなのに・・・嫌いなのに!


「なんでよ〜!私が煙草好きじゃないの知ってるくせに誰だ、私のこの健康体を脅かす馬鹿者は!!!
 皆勤賞とれるんだぞ?!このままいけば私は間違いなく確実に皆勤賞取れるんだぞ?!!
 それなのに何処の誰だコノヤロー。私が肺ガンにでもなって、学校に来れなくなったらどうするつもりだ!
 見つけたら肺の中どす黒くして保健体育の教科書の『肺ガンになっている人の肺』っていって写真掲載してやるー!!!!!!!」

、落ち着け」

「くっそー!あ、でもマフラーは臭くない。んー、どうしてだろ?」


と、いうか何時何処でヤニ臭くなったのだろうか?
私が煙草なんて有害なものを吸うわけもないし、隣を歩いている静だって吸うわけないし。
だって静はいつだっていい匂いしてるし(それじゃ私が変態なような言い方だけど)(そうじゃなくって、本当に静はいつも仄かに香る程度だから)(私はそれがすき)。
他に煙草の臭いがした所とか、あったかなあ・・・・・・・。


「・・・五・六限目んとき、」

「うん?」

「確か、喫煙してる先生の授業じゃなかったか?
 前にも、騒いでただろ。『これじゃあ、学校を禁煙にしている意味がないだろう』って」

「あ、あー!」


そういえば思い出した。今日は私の嫌いな喫煙先生の授業が二時間も続いてしまっていた。
私の席はこの間の席替えで一番前の、先生に近い席になってしまったから、普通に授業を受けていても私の場合だと臭いが制服に染み込んでしまう。
煙草のあの独自の臭いは、どうしても残ってしまうものだ。
しかもそれが六限目の先生が出張だからといって、変わりに来た先生も喫煙者だと・・・、これはきついものがある。


「そうだった・・・。私としたことが盲点だった。
 ・・・・・・・・・これ、臭い取れなかったらどうしよう」


もし、もしもこのまま臭いが取れないで、煙草を吸っている静以外の人と付き合っている、なんて噂を立てられてしまったら・・・・・・、制服新しいの買おう。
静に誤解はされないとは思うけど(今こんな会話してるし、私が無類の煙草嫌いだってのも知っているし)、私が嫌だ。勘違いされて、静と別れたなんて言われるのが、嫌だ。

急に黙りこくった私を見て、静かはその大きなごつごつした手で私の頭を撫でた。
髪の毛は乱れてしまうけれど、私はこれが好きだ。


「そんときはそんときだ」

「・・・うん。クリーニングには出そうかなー」

「部屋に置いておくのが嫌だったら、ファブっとけ。何とかなる」

「・・・・・・・・・うん」


静がそういうんだったらそうしよう。臭いが消えればそれでいいんだし。
心配して、くれてるんだし。


「お前自身の匂い、嗅げなくなるのも嫌だからな」






ファブってこい








(20070103)(幸せジャンキーの生活様へ提出日していたもの)(それと、お題に沿れてなくてごめんなさい!)(しかも百目鬼くんあんましゃべってないー!)(お疲れ様でした)