ポケットの中で携帯がバイブ音をあげる。授業中の今この時間、携帯で呼び出しをする人間なんて、あたしの知る限りではたった1人しかいない。案の定、携帯を取り出すとサブディスプレイに『リジ』と表示されていた(ちなみに、今はマナーモードに設定しているからバイブ音だけど、通常の着信音は桃太郎だ)(着うたで)。

・・・・・・・・・・。

授業も残り少ないから、終わってから行っても十分間に合う・・・はず。意識を携帯から黒板に向けて、先生の話に耳を傾けた。
























コンコン


「失礼しまー「遅い!!!」イテッ!」




理事長室に入るや否や、思いっきり頭を殴られた。思いっきり。しかもグーで!涙でぼやける視界。うう、あたしが何をしたっていうんだ!!!呼び出されて来ただけだろう!!!!!
理不尽でムカつくやら頭がひどく痛むやらで、涙目のまま目の前で威張りくさっている男(や、実際は本当にすっごく偉い人なんだけどね)(ただ、それとこれとは話が別だ、別なのだ!)を睨みつけた。




「な、何すんのよバカ!!!頭おかしくなったらどうするつもり?!」


「大丈夫だよ。もとから頭おかしいんだからサ」


「それリジにだけは言われたくない!!!!!」


「俺もそのセリフはだけには言われたくないな」


「(ムカッ!)このサディスト!!!コウちゃんに言いつけてやる!!!!」


「うん、いいよ」




ああ言えばこう返す!!!
胃がムカムカしてきた。本当に後でコウちゃんに言って叱ってもらうんだから!(コウちゃんのお説教って、アレはアレで結構キツいもんがあるんだから)
余裕綽々な顔で平気で言って返すんだから・・・、これじゃあ自分が疲れるだけだ(ランちゃんはいつもこんなイジメを受けてるんだね・・・)(いや、あたしもだけどさ)(今度からランちゃんに優しくしてあげよう)。


はああ、とため息を吐いて下を向いたら、さっき殴られた箇所を撫でられた。

あたしが大好きでやまないリジの大きな手で。顔を上げるとリジが苦笑してまだあたしの頭を撫でている(殴られた箇所だから少しだけ痛むし、髪もぐちゃぐちゃになっちゃう)(でも、リジに撫でられるのは嫌いじゃない。むしろ、)。




「はいはい、俺が悪かったよ。だからそんな泣きそうなカオするなって」


「なっ、泣いてなんかないもん!!!」


「誰も泣いてるとまでは言ってないヨ。だから、悪かったって。機嫌直してよー」




そうやってあたしの好きな笑顔を向けるから、怒るに怒れなくて・・・。まったく、どうにかしてよ(リジも、あたしも)。

ようやくリジはあたしの頭を撫でるのをやめた。あーもう、髪の毛ぐしゃぐしゃ。リジのあほーう。とか思ってる間に唇に何か当たったと思ったら、すぐに抱きしめられた。いつもの桃の香りがあたしを安心させる。




、まだ怒ってンの?」


「怒ってないよ。あたしが怒ってたのは頭殴られたから。すごく痛かったんだから」


「頭撫でてあげたでしょ。痛いの飛んでったんじゃないのカナ?」


「うん、もう痛くないよ。・・・・・・・じゃなくて!」




リジから離れようとして胸を押したけど、逆に強くなった。しょうがないから顔を見上げて抗議する。その間もリジはいつもの何を企んでるのか分からない笑みであたしを見ていた(ああ、この笑顔だきっとロクなことがない)。




「当初の目的!」


「当初の目的ィ?はて?私には何のことやらサッパリ」


「しらばっくれんじゃない!!!あたしを呼び出したでしょ。何か用があったんじゃないの?そ・れ・と!殴った理由は?!!」


「あんまり怒りすぎるとハゲて死んじゃうヨ?」




怒ろうと開いた口にまた、唇を押し当てられてその言葉は飲み込まれた。さっきとは違う長くて深いそれを終えたときには、呼吸が乱れて抗議の声も出ない。
ぎゅっと抱き寄せられて耳元で囁かれた。ああもう、楽しんでいるに違いない。嬉しい言葉を言って、あたしを困らせたいだけなんだよきっと。でも、まんまとハマってるあたしは。




に逢いたかったから。それと、が来るの遅かったから」






捏造万歳!(オイ)
2巻を読まないうちに書くもんではない。親愛なる理事長の口調も捕らえ切れていないのが丸分かり。精進あるのみ!
さて。このマンガは分かる方は一体どのくらいいらっしゃるのだろうか・・・。復興中!!

ヒロインで遊ぶ理事長。そこに愛はある。(20061014)