彼女は訊いた。ヒバリが寂しいと思うときはいつ?、と。僕はその質問の意図が分からずに素っ気無く、何いってんの?どうかしちゃったわけ?と訊き返した。








れてる








「いや、私が質問してるのにそれはないよ・・・。それじゃあまるで私が頭のおかしい子みたいじゃ・・・・・・え、何その、今頃分かったの?みたいな心底驚いた顔は」




そう言うなり彼女は泣き真似をしだした。ほんの冗談のはずだったのだけれど、ここまでオーバーリアクションをされると僕としても呆れるしかない(僕を呆れさせる人間なんてぐらいしかいないだろう)。しばらく放っておいたら、泣き真似をやめて、今度は膨れっ面をしだした(呆れるしかなくなった)。




「・・・少しぐらい慰めてくれてもいいんじゃないの?」


が泣き真似なんて馬鹿な真似するからだよ」


「・・・・・・・・・・・・。いいや。私の寂しいときはねー」




僕が答えないと思ったのか、自分のことを言い出した。視線を僕から外して、真っ直ぐに窓の方を見ながら。その目は愛おしく何かを見るように。その顔は愛おしく誰かに向けるように。




「ヒバリがいないときだよ」


「・・・・・・ふーん」




早くなる鼓動を隠すように、素っ気無く返す。不意打ち。そういうのは好きじゃない。視線は真っ直ぐ、僕を射抜いていた。その瞳に惹かれる。その口で、欲しい言葉以上のものを、僕にくれる。君の全てが愛おしい。




「ふーんって、これまた素っ気無いことで・・・。でね、私考えたんだけどさ、私たちって似てるよね」


「何に?」




彼女はにっこりととびっきりの笑顔で、兎にさ!と言った。






「だって兎は寂しいと死んじゃうらしいからね」「僕は寂しいなんて言ってないよ」「・・・ヒバリは寂しくないの?」「・・・・・・・・・・うるさい。寂しくないとも言ってないよ」「(素直じゃないなあ、ほんと)」













(『雲雀祭りプラスムック★祭典』に出品したもの)(お疲れ様でした)(20061216)