嗚呼、カミサマ!一秒でもいいの。あの人のために祈らせて! 後ろから見るだけで誰だか分かる。それぐらい、多分あたしは大佐のことを見ていたんだと思う。(いつからだとか、そんな正確な時間とかは覚えてないけど、 多分、初めて会った時からだと思う)(何年前だろう?あたしが入団したのは) (あの時から全然、変わってないんだもんね。あなたは、)だから今も数十メートル先から歩いてくる大佐も一発で分かったもの。(それは あたしが目がいいってのも、まあ、あるとは思うんだけどね) ずーっと、ずーっと あの人を見ていたんだ。あの人は、どうかは知らないけどね。だってあたしは 偉くもないし、出世してもいないし、まして美人でもなし。(自分で言ってて 悲しくなってくるよね!)(人間、こういう時にポジティブに生きないと!)だからあの人(というか大佐)があたしを見てるなんてことは、万が一、いや、億が一 あるえないと思うんだ!(うん、ポジティブポジティブ) それにね、大佐はあたしが戦場に出ても平気で捨て駒にすると思うんだ! あたしみたいに大した戦力もない人が戦場に出たって、敵を少しばかり殲滅できる だけだし、すぐやられちゃうと思うから。でも、大佐の役に立てればそれでもいいかな! 名前とか覚えていなくても、あたしが大佐の役に立てればそれでいいし。(それを 人はエゴというのだろう)(そう、エゴ。でもそうでもしなきゃ死にきれないじゃない) ああ、大佐が今あたしの隣を通り過ぎる。ああ、格好いいな。今ここで死んでもいいぐらいだよ。 お互いがすれ違う。大佐はあたしに呟いた。小さな、小さな、いわゆる蚊の鳴くような声 ぐらいの大きさで言った。聞き間違いなんかじゃない。あたしが大佐の声を聞き逃す わけないじゃない!ありがとうございます、大佐。これで決心がつきました。 それでもこの胸が痛むのは何故でしょうか?ああ、あたしは祈ることしか出来ません。 人間って、案外そういうもんだったりしてね。なら祈らせて! 笑顔でナイフを突き刺すヒト (「今度の戦い、期待していますよ」なんて、それじゃあまるで、) (20060707) お題。「Clair」様から |