第 拾漆 話









ただただ思う。私には何ができるのだろう、と。

白い部屋。白い、白い。あの赤い請負人が私に似合うといってくれた 白 が私を覆う。

一つだけの、その家具に腰をかけて、さっきから私を見てにやにやと笑っているこの男。

そいつのせいで、私は今、ここにいる。






「君は
――――――――― ・・・・・」






笑っている顔で笑っていない眼。






「君は、一体
――――― ・・・・・」






それはとても怖いこと、恐いこと。






「君は一体何者なんだい?」






たしかにこの空間に、私とその男は存在していた。














*














「お、いーおかえんなさい」


「いーちゃん、おかえりなんだよ」


「来たんならさっさと帰るぞ。おれはそんなに暇じゃねえからな」






いーが部屋から出てきたところで、いーに声をかける。

ソファから腰を上げると、いーがめずらしく眉間にしわを寄せていた。






ちゃんは悪いけど残ってくれないかな?」


「え?何故に?」


「話があるんだってさ。ちゃんに、兎吊木さんが」


「はあ?またおれ達はここで待つのかよ。いい加減にしろよ」


「『その少女だけは残るように。その他は帰ってください』だそうだよ」


「・・・・うにー、どうしたんだろう?さっちゃんにしてはめずらしい」


「(兎吊木さんが私に用?・・・何だろう) ・・・わかった。みんなは先に戻ってて。志人君も、ね?」


「出るときはどーすんだよ、お前。IDとか持ってるわけがねーしよ」


「うーん・・・・・、何とかなるっしょ!」


「おまっ、何とかなるってそん「大丈夫」」






ゆっくりと、言葉を吐き出す。






「私は戻ってくるから、大丈夫。だから、行って」


「っ・・・・、戻ってこいよ、


「!!!・・・・・・うん」






志人君はまだ何か言いたそうな顔をしていたけど、それ以上は何も言ってこなかった。

そんなに兎吊木さんが、恐ろしい恐怖の対象なのかな・・・?

と、いうか。志人君、名前呼んでくれたよ!!!!!よっしゃー!!しゃーんなろー!(違)






「いー、遅くなりそうだったら電話するから。友も、心配しなくても大丈夫だよ!」


「わかった。くれぐれも気をつけるんだよ」


「ちゃんと僕様ちゃんのもとに帰って来てね、ちゃん」


「合点承知!いーに友に志人君、またね」






手を振って、みんなと別れてから兎吊木さんに居る部屋の前に移動する。

ノックぐらいはする常識人なので、ノックをして声をかける。






「兎吊木さん、来ました」


「どうぞ」






よし!また兎吊木さんの生ヴォイス!!!!(さっきも聞いたけど)

軽く深呼吸して、ドアを開ける。







「失礼します」


「やあ、はじめまして」


「・・・・はじめまして」






一礼してから、後ろ手にドアを閉める。さっきも見たけど、生兎吊木さんが目の前に居るわけで、

今こうして念願が叶ってしまった。普通に嬉しいですよ!兎吊木さん!!!(何)

このままいけば、念願のオールキャラ(クビキリ、澄百合は駄目だったけど)に逢えるね、きっと!!






「君
―――――名前は?」


 です」


ちゃんか。そうか。ああ、座っていいよ?大丈夫。掃除は済ませているから」


「・・・・・・・・・・・いえ、大丈夫です。立ってます」


「何なら俺の膝の上にでも座るかい?」


「結構です」


「そうかい?それは残念だ」






全然残念そうじゃなさそうですけどね、とツッコミを入れたかった。

変態だ。色んな意味で変態だったよ、志人君。






「それで、兎吊木さん。私にどういった用があってここへ呼んだんですか?」


「いきなり本題か・・・。もう少しゆっくり話したいもんだけどね。まあ、いい。

 それに、兎吊木でいい。みんな「さん付け」で呼ぶけど、俺は好きじゃないんでね」


「でも、目上の人なのに兎吊木は失礼だと思いますけど」


「別にそんな事、俺は気にしちゃいないさ。俺がいいって言ってるんだからさ」


「(どうしよう・・・、でも失礼だしなぁ。うーん)・・・それじゃあ、垓輔さんで」


「さんがまだ付いてるよ?」


「これで許してください。これ以上は失礼に値しますので」


「まあ、名前を久方ぶりに呼んでもらったから、今日は許してあげよう」






今日はって何ですか、とまたツッコミを入れたかった。

垓輔さんは、腕を組んだまま私に問う。






「君はどうして玖渚友と一緒に居るんだい?以前の死線には普通の、

 ましてや女の子の友達なんてのは居なかったのだけどね」


「どうして・・・・ですか。うーん・・・、理由は無いです。一緒に居たいから一緒に居る。

 ただ、それだけです」


「これはー、今時にしては珍しく純粋な意見だ。いや、最近は何かとドロドロしているからね。

 『一緒に居たいから一緒に居る』か。なかなか、面白い」


「ど・・・どうも?」


「ふふ・・・、そういう反応も可愛いね、ちゃん。若いこに逢ったのも久し振りだ」


「さ、さっき、いーと友にも逢ったじゃないですか」


「もうすぐで成人の奴を若いとは言わない。

 気になっていたんだけど、さっきの死んだ魚のような目をした少年とは、どういう関係なんだい?」


「いーとはただの友達です」


「友達、ね。ふーん・・・・・・。そうだちゃん、こっちにおいで」






もう何がしたいのかわからないです、垓輔さん。質問の意図もよくわかんないし。

垓輔さんを見ても、ただ手でこっちに来るように促してにやにや笑ってるし。

・・・・・・・・・・・・・、別になにも心配する必要ないか。

真っ直ぐに歩いて垓輔さんの前まで歩いていく。






「後ろを向いてくれるかな」


「(本当一体、何がしたいんだろう)」


「・・・・・ちゃん、人の事は疑ったほうがいい」






え、何が といい終わる前に、後ろから腕を回されて、そのままイスに座り込んだ。

座り込んだ・・・というか、この場合は座らされた、と言ったほうがいい。

兎に角、私は垓輔さんに抱かれる状態で、垓輔さんと一緒にイスに座っている。






「な、何するんですか?!!!」


「いや、別にそんなに警戒する必要はないよ。ただ、立っていて辛そうだったから

 イスに座らせたまでだ。俺は何も悪くない」


「だったら床に座りました!」


「そういうと思ったから、こういう方法をとったんだよ。






耳元で言ってくるから、自然と顔が赤くなる。恥ずかしい・・・!!

というか、名前を呼ぶなんて反則だァァア!!!!!

心臓飛び出る!!!!!本当に止めてください!!!!!(切実)









「(だから名前で呼ぶな!)何・・・ですか?」


「君は一体何者なんだい?」















     









≫結構お久し振りですみません。うつりーがやって参りました。口調、難しい;;
 何時もよりは長かった気がします。てゆうか、微妙なトコで切ってすみません、本当。
 しかもプチスランプです、多分。が、がんばるぞー。(ガンバレー/投げやり)(20051007)