第　拾捌　話









「君は一体何者なんだい？」






それは、この世界に来てから、嫌というほど訊かれた質問だった。

いい加減、答えるのも飽きてきた。（説明するのも面倒だし）

でも、自己紹介の一環だと割り切る事にしよう。（飽きたし面倒だけど）






「どこにでもいる、普通の一般人です。人間ですよ」


「死線と関わる一般人か？それは実に――――・・・面白いね」


「（前に誰かにも同じ事を言われた気がするけど）」


「おっと、黙らせてしまったか？それは悪い事をしたね、それじゃあお詫びに抱擁を」


「さっきっからしてるじゃないですか！」


「そう怒らないで欲しいね。冗談が通じないのは、いささか悲しいものがある」


「離してくださいよ、垓輔さん。そもそも何で私をここに座らせる必要があったんですか」


「似たような質問はしない方がいい。ま、でも、大きな理由は人恋しかったからかな」


「セクハラで訴えますよ」


「だから怒らないで欲しいね。折角の可愛い顔が台無しだ。

　因みに、可愛いという漢字は当て字なのは知っていたかな」


「いえ、知りませんでした。へー、そうなんですか・・・」


「やっと肩の力が抜けたようだね。もしかして、異性に抱かれるのはこれが始めてだったりするのかな？」


「・・・・・いえ、違いますけど」


「それはあの青年となのかな？・・・・・図星のようだね。ふーん、やるね。

　それじゃあ、キスはしたことあるのかな？因みに俺は長い事生きてきたから、あるよ」


「・・・・・・・いえ、ありませんけど」






いーに続いて、何で私までセクシャルハラスメントを受けなくちゃいけないんですか？！

いーだけで十分でしょ！？？だからいい加減離してくださいって何やってるんだこの人は！！（パニック）






「どこ触ってんですか、あなたは！！！」


「久し振りの人肌を堪能しようと思ってね。スカートとは反則だね・・・・って痛い」


「この変態」






動かせる手を使って叩き落した。今、もの凄く逃げたい気持ちでいっぱいです。

力が強くて逃げらんないけど・・・・。






「変態とは酷い言われようだね。全く、心外だよ」


「行動を改めて言ってください、そういうセリフは。・・・・・・帰っていいですか？」


「駄目だといったら？」


「言っても帰りますけどね」


「どっちにしたって帰るんじゃないか。ま、いいだろう、帰ってもいいよ」


「それじゃあ帰「ただし、約束がある」






垓輔さんは一旦言葉を切った。腕はまだ、離れない。






「明日の朝早くに、またここに来て欲しい。なるべく早くね」


「・・・・・・・嫌です。私、低血圧なんで無理です。（それに明日は・・・）」


「大丈夫、君は必ずここに来る。明日、君がここに来たくなくても、必ず」






何を、言ってるんだろう、この人は。私は明日、ここには来ない。絶対に。

だって明日には、垓輔さんは居ないんだから。態々、死体なんて、見に来たくない。

例えそれが垓輔さんの死体でなくても、私は見たくなどない。だから、明日は


ここには来ない。






「それじゃあ、また明日」






耳元で強く言われて、少しだけ、恐怖した。

というか、耳元で言うのは止めて欲しい、です。心臓に悪いんで、本当。

腕の力が弱まって離れたので、やっと開放された。

そのまま立ってドアの方へと歩いていき、ノブに手をかけた状態で垓輔さんを見る。






「垓輔さん、最後に一つだけいいですか？」


「何かな？」


「垓輔さん、あなたは本当は」






今までの疑問を投げかける。今まで訊きたかった質問を問う。






「玖渚友が好きなんじゃないんですか？」


「・・・・・・・・・」


「それじゃあ私はこれで。失礼しました」






ドアを開けて、部屋を後にした。









「参ったね、どうも」






あの、あの瞳。強い意志。こちらが圧倒されてしまうような、それ。

何もかもが久し振りの感覚だ。






「　か・・・・・・・・、気にいったよ」






君は、この『害悪細菌』(グリーングリーングリーン)が、壊す。

壊しがいのある子だ。・・・・・・明日が楽しみで仕方が無いよ。




















*




















１階に下りていったら、なんと、志人君が居た。

折角なので、走って勢いよくダイブしてみる。（ターゲット確認。準備OK。作戦開始）






「しとしとぴっちゃーん！」


「うわっ！！てか、おれをそれで呼ぶんじゃねえ！！（何やってんだコイツ！だ、抱きつくな///）」


「（ナイスキャッチ☆ていうか意外に背、高い）あれ？何で志人君がここにいんの？」


「白々しいぞ、お前。・・・・ここから出られないんじゃねーのかよ」


「あ、言われてみれば・・・。で、態々迎えに来てくれたの？」


「ばか、違う！！博士に頼まれたから仕方なくだ！」


「そうなの？どっちでもいいけど、ありがと」


「（可愛い・・・って何考えてんだ、おれ！）べ、別に礼を言われるようなことはやってねーよ」


「素直に受け取ろうよー。さ、帰ろ！もうこんなトコとはお去らばさ！」


「何？なんかされたのか？！」


「人のトラウマはそっとしておきましょう。大丈夫、心配ないよ」


「だから変態って言ったろうが」






志人君と共に研究棟を出て、宿所へと向かった。









『君は一体何者なんだい？』



そんなの、私が一番知りたい。












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≫変態光臨！！（や、光臨しちゃ駄目だから）やっと１８話まできましたね。
　一番ビックリしてるのは私だったりします。ここまで続くとは思ってなかったり。
　はい。後半は志人君が出張ってますがお気になさらず。好きですよ、彼。（知らん）
　次からはー、さっさと進められたらいいです。グロくなるかも？ならないかも。（どっちだよ）
　（20051007）