第 弐拾参 話
それからは、やけに時間が経つのが早かった。目まぐるしく過ぎていった。
やっとこの研究施設から帰れるわけで、今は志人君がフィアットに給油している。
やっと・・・・ではないのだけど、(滞在していたのが約2日間とないわけだし)
すごく長い間ここに居た気がして、我が家やアパートのみんなが恋しい。
ここのみなさんもキャラが濃くって楽しかったけれど。(垓輔さん以外)
あの後いーが目を覚まして、屋上にて解決編が行われた。
ナイフを投げつけて走り去っていく神足さん―――――いや、この場合は垓輔さん、と目があった。
それはほんの一瞬、それよりも短い一刹那だったけど、その瞳は冷たくて、その顔は笑っていた。
そして、私の横を走り去っていった。
私は、
あの男に壊されかけたし。でも、そのおかげで私はここに居られる。目的も見つけられた。
結果はどうあれ、感謝はしている。(して、いるけど、二度と逢いたくない人堂々のナンバーワンだ!)
研究所のみなさんの別れの言葉も面白かった。
三好さんは、
「我が生徒をよろしく頼むわ、ちゃん。ちーと冷静さが足りてへんなーと思うたら、
殴ったれ!うちが許す。ほんだらな、また逢おなー」
と言って、いーのことを軽く殴って行ってしまった。
関西弁キャラのポジションはおいしいと思う。(どういう感想だ)
根尾さんは、
「君はあの少年ぐらいに謎が多かったね。ま、なんかあったら何時でも私のもとへ
来てください、何時でもお役に立ちましょう、可愛いお嬢さん」
最後まで、どこまでもクサイセリフを吐く人でした。
もう少し痩せてたら様になってたと思うんだけどなぁ・・・・・。(酷い)
宇瀬さん、春日井さんとも別れの挨拶をして、隣にいる志人君を見た。
志人君には色々と迷惑を掛けてしまった。何だかんだ言って、いつも気にかけてくれてたし。
「ねえ、志人君」
志人君から目を外して、空を見た。
「志人君は博士について行くんだよね?」
「ああ、そうだけど」
「そっか・・・、これでお別れだね。・・・ありがとう」
「・・・・・礼言われるような事はしてねえよ」
「ううん。志人君は色んなこと、してくれたよ。壊れそうだった私を・・・助けてくれた。
それに、私の我がままにも付き合ってくれたし。本当に、ありがとう」
「・・・・・・・・・・」
「ありがとう。・・・・・また、逢えるといいね」
「そう・・・だな」
別にこれが最後じゃない。それでも、この場の空気が重いのは確かで。
「んじゃ私はいー達のこと、呼んでくるね」
「お、おい!ちょっと待て!」
「へ?」
「お前のケータイ貸せ」
「え?何で?」
「いーからさっさと貸せ!」
「?」
いきなり呼び止められて、ケータイ貸せってどこの坊ちゃんですか!!!
志人君、俺様主義者だ・・・・・。(じゃ、ジ。イアニズム万歳?お前の物は、俺の物?)
いくら何でも壊すことはないと思うので(これ、潤さんに買ってもらったレアものだし)
素直に渡した。
「壊したりしないでよ?買ってもらったものなんだから」
「おれがそんな事すると思ってんのか?」
「え?まさか志人君、そんな事しないよね?」
「それじゃあ、今すぐにおれが証明してやるって何でだよ!おれで遊ぶな!」
「あははっ、ひー、ふ、腹筋使う、ふふっ、お腹いたいー!!!」
「たくよー、ほら、返してやるよ」
お腹を抱えて笑っていたら、こつっ、とケータイで頭を小突かれた。
ケータイの液晶画面を見ても、特に変化はないようだけど・・・・。
「・・・・・・・・・?」
「別にこれで別れじゃねえだろ。ふんっ、おれはと違って暇じゃないからな!」
志人君はそっぽを向いてしまった。
登録番号を見ていくと、『大垣』と表示される番号があった。・・・・・素直じゃないな。
「うん。暇なときは電話するし、メールもするよ。その時はきちんと返事返してね?」
「返して欲しいなら・・・返してやるよ」
「やった!帰ったら絶対メールするからね!(よし、メル友が増えた)」
「勝手にしろ」
ここに来てよかったと思う。悪い事ばかりじゃ、なかったから。
その後、いー達を迎えにいって、斜道卿壱朗研究施設を後にした。
*
「鈴無さん、お世話になりました」
「こっちこそ、ちゃんに逢えてよかったんだわよ。また逢いましょ」
とのこと。この時に初めて比叡山が滋賀県だということを知る。
その後に、城咲へ向かった。
「友、誘ってくれてありがと。色々と楽しかったよ」
「僕様ちゃんはちゃんともっとお話したかったよ。ちと残念。
また遊ぼうね、ちゃん!」
「うん、またね!」
そんなこんなでやっとのご帰還。我が家に帰ってきた。
みいこさんに「ういろうを一緒に食べないか?」と誘われたけど、
もう眠かったし、いーにも悪いし、丁重にお断りして部屋に入った。(今度お茶する約束はした。やった!)
・・・・・・・私の生活用品は無事でした。(姫に私のは置いといてねと言ってきたので大丈夫だった)
いーに合掌して、志人君にメールを打ってその日は終った。
これで、サイコロジカルは終了した。
地獄という地獄を地獄しろ。
虐殺という虐殺を虐殺しろ。
罪悪という罪悪を罪悪しろ。
絶望という絶望を絶望させろ。
混沌という混沌を混沌させろ。
屈従という屈従を屈従させろ。
遠慮はするな誰にもはばかることもない。
我々は美しい世界に誇れ。
ここは死線の寝室だ、存分に乱れろ死線が許す。
ここからが、本当の戦い。
今までの物語は、序章にすぎない。
物語は加速していく。 色んなものを巻き込みながら。
色んなものを狂わせながら。
物語の終焉に向けて。
さあ、ここからが、本当の始まりだ。
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≫ちょっと展開が速すぎたかな・・・と思ってるのですが、大丈夫ですね!(勝手に決めるなや)
間違っても志人夢ではありません!オールキャラと触れ合おうという計画と同時に、
メル友になろう、という計画も発動してます(知りません)
次からは、番外編とかも書こうかな、と。キャラとのふれあい・・・ですね。萌太とか書くぞ!(20051113)