第 弐拾捌 話







「や、やっと着いた・・・・・」





がくりとその場に膝をついた。(直後、コンクリートが熱くてまたすぐに立ったのだが)

乱れた呼吸を直そうと、深呼吸を数回。スーハー、と深呼吸すると酸素が肺を満たす。

空気も澄んでて気分がいい。とりあえず汗びっしょりだからシャワー浴びたい。


とか、今は置いといて。(手で横に置く動作つき)


下がっている看板にはきちんと『西東診療所』と書いてある。

やっと着いた。その看板を確認できたことで少し、気が楽になった。大変な道のりだった。

もう2度と来たくはないと思った。何時間かかったのだろうか・・・。





「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・」





深いため息を吐いて、胃に(又は肺?)に溜まった不快なものをいっきに吐き出す。

ここまで来たんだ。もう後戻りはできない。(初めから後戻りする気なんてないけど)

女は度胸だ!(違う)

吹き出る汗を拭いて、玄関のインターホンを鳴らした。





「・・・・・・・・・・・・・」





沈黙。


あれ?反応してくれてもいいんじゃない?

・・・・・・・・お呼ばれしていないのは私だって分かってるさ!





「・・・・・・・・・・・・・」





もう1回鳴らそうと手を上げた時、いきなり玄関の扉が開いたかと思うと、

春日井さんが出てきた。マイペースに、口笛を吹きながら。





「か、春日井さん・・・・」





春日井さんは少し目を見開いて(その春日井さんの反応には少し、驚いた)

でも、すぐにいつもの表情に戻って、「ちゃん」と私の名前を呼んだ。





「どうして君がこんなところに居るのかな?君はお留守番のはずじゃ、なかったかな」


「それは・・・「春日井さん!!!」





口ごもっている私を尻目に、いーが春日井さんの腕を掴んでいた。

いーは勢いよく走ってきたせいで少し、息が上がっている。





「・・・・・・強引な男は結構好き」


「じゃなくて! なんなんですか、今のは!

 って、ちゃん?! ・・・・・どうしてここに。留守番しててって言っておいたじゃないか!」


「だって行きたかったのに、連れて行ってくれなかったじゃん!」


「だからそれは哀川さんが、今回はを連れて行くなって言ってたの、ちゃんだって

 聞いていただろう? だってじゃないよ。って、春日井さん!」





春日井さんがスタスタと門のほうまで歩いて行こうとするので、いーまで引っ張られて

行ってしまった。


・・・・・・・そんなに怒ることないじゃない。


そりゃ確かに、潤さんには今回は行くんじゃないって言われてたけど、でも、

でもここには絶対に来なくてはいけなかったんだから、仕方が無い、でしょ。


足音が近づいてきたので、どうやら春日井さんは帰ってしまったようだ。

いーを見ると、少し、バツが悪そうな顔をしていた。





「・・・・・さっきは少し言い過ぎたよ。

 春日井さんは帰っちゃったし。まあ、中、入ろっか」


「うん。・・・・・・私も勝手に来ちゃってごめんなさい」


「今更だしね。そのかわり、春日井さんの代わりに、バイトお願いしたよ」


「ありがとう。・・・・おっし、バイト頑張るぞー!!」





すぐに仲直りできてよかった・・・。


改めて玄関に入り、木賀峰教授たちのいる部屋まで歩いていった。











       




≫また1ヶ月も経ってしまいましたね・・・。本当、すみませんでした。
 ちゃっちゃと早いところヒトクイを終わらせるようにしたいです。
 毎週の更新を目指したいと思います!めっちゃ頑張るぞ!

 西東診療所までの交通手段とかは、各自ご想像におまかせして(オイ)
 次はまた出夢くんか、な?(20060612)